SIRとSMR
ある集団と、基準集団との疾病罹患・死亡の比較の指標について勉強してみた。
標準化罹患比 (SIR, Standardized Incidence Ratio)
人口構成の違いを除去して罹患率を比較するための指標。ある集団の罹患率が、基準となる集団と比べてどのくらい高いかを示す比と理解することができ、ある集団で実際に観察された罹患数が、もしその集団の罹患率が基準となる集団の罹患率と同じだった場合に予想される罹患数(期待罹患数)の何倍であるか、という形で求められます。年齢調整罹患率の算出には年齢階級別罹患率が必要ですが、そのようなデータが得られない場合や、人口規模の小さい集団で年齢階級別罹患率の偶然変動が大きい場合の年齢調整の手法として、標準化罹患比が用いられます。日本の都道府県比較の場合、基準となる集団の罹患率として通例全国値が用いられ、標準化罹患比が1より大きい都道府県は全国平均より罹患率が高く、1より小さい場合は全国平均より罹患率が低いことを意味します。標準化罹患比は、ある集団で実際に観察された罹患数が、もしその集団の罹患率が基準となる集団の罹患率と同じだった場合に予想される罹患数(期待罹患数)の何倍であるか、という形で求められます。標準化罹患比(SIR) = 観察集団の実際の罹患数/(基準となる集団の年齢階級別罹患率×観察集団の年齢階級別人口)の総和
は行|がん登録・統計[がん情報サービス]より(一部改変)
(1)当該集団の年齢層の区分けを基準集団に合わせ、各年齢層の人口を算出
(2)それぞれの年齢層の人口に、基準集団の対応する罹患率をかけて年齢層ごとの期待罹患数を算出し合計値を計算
(3)期待罹患数に対する実測罹患数の比が「標準化罹患比」
標準化死亡比
人口構成の違いを除去して死亡率を比較するための指標。ある集団の死亡率が、基準となる集団と比べてどのくらい高いかを示す比と理解することができ、ある集団で実際に観察された死亡数が、もしその集団の死亡率が基準となる集団の死亡率と同じだった場合に予想される死亡数(期待死亡数)の何倍であるか、という形で求められます。年齢調整死亡率の算出には年齢階級別死亡率が必要ですが、そのようなデータが得られない場合や、人口規模の小さい集団で年齢階級別死亡率の偶然変動が大きい場合の年齢調整の手法として、用いられます。日本の都道府県比較の場合、基準となる集団の死亡率として通例全国値が用いられ、標準化死亡比が1より大きい都道府県は全国平均より死亡率が高く、1より小さい場合は全国平均より死亡率が低いことを意味します。標準化死亡比(SMR) = 観察集団の実際の死亡数/(基準となる集団の年齢階級別死亡率×観察集団の年齢階級別人口)の総和
は行|がん登録・統計[がん情報サービス]より(一部改変)
使用例
子宮内膜症患者の、卵巣癌、子宮癌、乳癌についてのSIR、95%CIを算出(Poisson分布を使用)。
腎移植後患者における、皮膚腫瘍について。SIR、95%CIを算出。