エビデンスレベルについての誤解がとけた
診療ガイドライン作成マニュアル
診療ガイドライン作成マニュアルを読んだ。
ガイドラインは、患者、医療者で意思決定を行う上で重要なツールである。
上記文献を読んだと同時に専門家に話を聞く機会があった。特にエビデンスレベルについて誤解していたので、覚書。
ランダム化比較試験至上主義でないことが理解できた。
ガイドライン作成の手順
実際のガイドライン作成の手順を見てみると、
1)作成目的の明確化
2)作成主体の決定
3)事務局・診療ガイドライン作成組織の編成
4)スコープ作成
5)システマティックレビュー
6)推奨作成
7)診療ガイドライン草案作成
8)外部評価・パブリックコメント募集
9)公開
10)普及・導入・評価
11)改訂
という手順を踏む。
エビデンスの評価
一番勉強になったのは、エビデンスの評価。
GRADEによると、
研究ごとの個々のエビデンスと、body of evidence (エビデンス総体)の双方を評価。
エビデンス総体の強さ(エビデンスレベル)は、ABCDに分けられる。
個々の研究論文にエビデンスレベルを振るのではなく、エビデンス総体に強さを振る(ここ重要)。
総体として、indirectness, inconsistency, imprecision, publication bias: ファンネルプロット なども評価する。
ガイドラインへの市民参加
ガイドラインの目的は、医療現場において患者と医療者の意思決定を支援すること。
英国のNICEでは、患者、市民が16名中2名参加することになっている。
日本でもこちらの方向は進みつつあり、以下のような考え方が提示されていた。
[2016/7パブリックコメント募集版](http://minds4.jcqhc.or.jp/resource/pubcom_PPI2016.pdf)
患者・市民構成員としての参加の具体的方法
最低2名の参加が望まれます。例えば、1名は患者・市民構成員としてのトレーニングを受けた者が患者・市民のメディエータとしての役割を果たし、他の 1 名は当該疾患の経験者が当たるなどの方法が考えられます。 2 名以上が参加することによって、個別的な経験などによって診療ガイドライン作成が偏った方向に進むことを避けることができます。
ガイドラインに関する理解が深まり、良かった。
リンク
minds minds.jcqhc.or.jp